中学生の時、どんぐりが直撃して、左目が見えなくなった。
中学生の時、どんぐりが直撃して、左目が見えなくなった。
どんぐりは飛んでくるのだ。世界は不条理きわまりない。
眼科に運ばれると、眼球内の内出血で、一晩頭を上げて寝たら治るという診断が出た。
一安心したはいいものの、翌朝まで、僕は片目が見えない時間を過ごすことになった。
それ以来、視覚の存在を意識するようになった。
どんぐり一発で消え去るような弱々しいものとして。
高校生の時、朝起きると突然、激しい目の乾きを感じた。
それ以来、数年、僕は過度なドライアイに煩うことになった。
といっても、眼科に処方された目薬を差し続けるぐらいしか治療法はないのだけど。
それが治ってきたのは、本当に最近、2年前ぐらいからだ。
原因が一体、何だったのか。いまだに判然としない。
でも、どの美術展に行っても、僕は「見えていない」。
というより、何かを見る状態に眼がないのではないか?
と強迫的に思っていたことは覚えている。
一瞬だけ通っていた美術予備校に「私には絵画が分からない」などという長駄文を勝手に提出して、辞めてしまったのだけど、それも今思うと、きっと、絵画が分からなかったのではない。絵画を見ることがなぜ可能なのかが分からなかったのだ。
この眼がなぜ、絵画を見て、読むことができるのか?
僕の美術への関心はここから始まっている。
この眼では「見れない」という不信感とともに。
だから、このブログは「よわいめ/ヨワイメ」と名付けられている。