擬的表現論(批評再生塾初出)

横尾忠則は死を擬態する。横尾芸術を貫く、本来一回的な死の遅延作業は彼がまだ幼い頃、養子先の年老いた母に負ぶわれて、一命を取り留めた台風による洪水経験に由来している。それは彼の芸術的生そのものを規定しつづける、根源的な死を偽装し、シミュレー…

ポップなき時代にポップを探して

本書はポップなき時代のポップの意味について、美術の領域から迫っていくことを目的としている。 第1章 ネオポップとマイクロポップの時代————————————————————————————————————- ——————–ポップなきポップ——————– かつてこの国には、ポップカルチャーが存在…

近代絵画を成立させる精神の根源にまで遡るとすれば、シャルル・ボードレールの定義するモデルニテを体現したエドゥアール・マネ、燕尾服の喪に近代を見たギュスターブ・クールベ、あるいはロココ期、貴族の遊び場に大衆扇動を喚起するアンソールの仮面の浮…

「この世界の片隅に」論-ゴッホのミスリード(批評再生塾初出)

1.空襲シーン 昭和20年3月19日、呉、空襲。対空砲火がすずさんの上空で炸裂。すぐさまに色彩豊かな爆発は絵の具のタッチに変わり、視界は美しい絵画空間へと変貌します。現実と絵画空間の重ね合わせ。細馬宏通はこの場面を空襲と想像力という明確な対比によ…

『草の上の朝食』論 – スキャンダラスな「喪の作業」として(批評再生塾初出)

「反復は、けっして飽きのこない、いとしい女房である。というのは、飽きるのは、新しいものにだけ飽きるのである。古いものには、けっして飽きがこない。そしてそのようなものが目のまえに、あってくれると、ひとは幸福になる」(セーレン・キルケゴール『…

Practice for a Revolution-擬態する坂口恭平(批評再生塾初出)

坂口恭平と坂口真理夫(マリオ)は別人だろうか。坂口真理夫とは母親によって却下された第二案、もう一人の坂口恭平の名である。躁鬱病である坂口の経験する躁と鬱が切り離せないように、恭平と真理夫も切り離すことができない。予告された殺人よろしく、坂…

青と黒と透明 - 最果タヒの色彩感覚をめぐって(批評再生塾初出)

「瞳の中に暮らすことが、恋することだ、恋されることだ。」 (最果タヒ×今日マチ子「ライフ・イン・マイ・ヘッド」) 「夜空はいつでも最高密度の青色だ」。多くの読者あるいは論者はそれを青色であると思っている。なぜなら、その言葉が「青色の詩」のうち…

モランディ、岡田温司講演、兵庫県立美、メモ

磨製石器のような上部の窪んだ白い板が示される。シャーラーという写真家が撮ったモランディのパレットである。わずかな濃淡を持つ白と縁部には赤と青がくすんでいる。限られた色彩とフレスコ画にも用いられる顔料の作り上げる芸術。ピカソよりも少し若いそ…

「たけくらべ」朗読

東大本郷での日本文学全集出版記念の講演会 http://t.co/iyMRoaxTfL に行った。川上未映子さん人気なのか男性はもちろん女性も半々ぐらいで大学生から結構なご老人(後に割と厄介)まで、、、面白い空間でした。 1部の川上さんの「たけくらべ」秘話と朗読は…